トップ / ニュース

ニュース

【コラム2】森弘子「まさに日本的スーパーフード!大麦②」(テーマ:雑穀)

 

mori雑穀のなかで、スーパーフードの代表としてあげられるキヌア。

キヌアは、インカ文明の昔からアンデス地方で穀物として作られてきました。近年、その栄養価の高さ、豊富さから日本でも脚光を浴びているキヌアですが、コメ文化の日本において、キヌアを穀物として日常的に食べるのは、大多数の一般的な家庭ではまだまだ馴染み難いというのが現状でしょう。

…………………………………………………………………………………………………………………

 実は、私たちが慣れ親しんできた、日本の伝統的な食習慣の中に、スーパーフードと呼ぶにふさわしい穀物があります。それが皆さんご存知の「大麦」です。

…………………………………………………………………………………………………………………

 約1万年も前から、メソポタミア文明が栄えた地域で栽培されていたという大麦が日本に渡ってきたのは、弥生時代の終わりつまり卑弥呼が邪馬台国を治めていた時代にまで遡り、奈良時代には既に栽培が始まっていたそうです。その後、味噌や焼酎の原材料として用いられるだけでなく、麦飯として庶民の食卓にのぼってきた日本の伝統的な穀物の一つ大麦。しかし、白米を食べるのが一般的になった近現代の食生活では、大麦そのものが食卓に登場する機会が激減してしまいました。こうした状況は、大麦から日本人が受けてきた恩恵をみすみす手放すことになっているのです。

…………………………………………………………………………………………………………………

 大麦は優れた栄養価を持つ穀物です。精白米に比べ、カルシウムは3倍、カリウムは2倍。タンパク質も白米に勝ります。そして特筆すべきは、食物繊維の含有量。大麦は100グラム中8・5グラムの食物繊維を含みます。これはなんと白米の17倍。ゴボウやサツマイモなど食物繊維の含有量がきわめて多いと言われる食材、またはスーパーフードのキヌアに比べてもなお勝ります。

…………………………………………………………………………………………………………………

  しかも大麦には「不水溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の二種類がほぼ半量ずつ含まれています。この二種類の食物繊維は異なる働きをします。不溶性食物繊維は大腸で水を吸収し排便を促進、便の腸内通過時間を短縮することで発ガン物質の腸内滞在時間を短くして、発ガンを抑制します。一方の水溶性食物繊維は、食物の腸内での消化速度を遅らせて、糖質の吸収を抑制します。それにより急激な血糖値の上昇を抑制してくれます。また脂質吸収を阻害して、食後のコレステロールの吸収や血中コレステロール値の上昇をおさえるのです。つまり、不水溶性食物繊維は消化管関連の疾患予防に、水溶性食物繊維は代謝関連の疾患予防に効果を発揮し、糖尿病や肥満予防に対する効果が望めます。

…………………………………………………………………………………………………………………

 二種類の食物繊維の働きをこのように整理すると、その両者をバランスよく含む大麦が、いかに理想的でスーパーフードと呼ぶにふさわしい穀物かお分かりいただけることでしょう。

…………………………………………………………………………………………………………………

 大麦の水溶性食物繊維=βグルカンの含有量は他の麦、例えばオーツ麦、小麦と比較しても勝ります。

 また、アメリカ食品医薬局(FDA)が大麦βグルカンを含む食品に、冠動脈心疾患のリスクを下げるという趣旨の健康強調表示を許可していることからも分かるように、大麦の健康効果は欧米諸国でも認められています。

 伝統的な日本食離れが進み、食生活が欧米化した現在の日本人の食物繊維の摂取量は減少しています。できるだけ手軽に生活習慣を改善したい方にとって大麦は救世主と言えるのではないでしょうか。

…………………………………………………………………………………………………………………

 大麦は決して調理の難しい食材ではありません。精白した製品が多く出回っているので、玄米などに比べると、大変手軽に炊くことができます。

 精白すると栄養が失われることを心配する方もあると思いますが、大麦は精白しても、その栄養価に変化がないのです。米は精白することで、外皮に含まれる食物繊維が失われてしまいますが、大麦はでんぷんが含まれる胚乳部分に食物繊維があるので、精白してもその栄養価に影響がないのです。そのため様々なかたちに加工することが可能で、例えば米粒と変わらない粒状の製品などは米と一緒に炊くのに都合良く、存在が目立ちにくいので、大麦初心者や子供にも大変馴染みやすいと思います。

…………………………………………………………………………………………………………………

 他の伝統食材との相性もよい大麦を利用することは、日本の食文化の継承にも繋がることでしょう。風土に由来する食材は、その土地に住む人の健康にとって、自然でとても馴染みがよいはずです。総摂取カロリーの60パーセントを占める炭水化物ですから、風土に根ざしたものを食べることの意味は大きいといえるはずです。

…………………………………………………………………………………………………………………

Presented by  スポーツ・スーパーフードマイスター 森 弘子